王子駅から西を歩く


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王子駅から西に歩く。駅近くの音無親水公園から石神井川に沿った遊歩道は、
春の桜、秋の紅葉の名所として有名だが、また寺院が点在する地域でもある。

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駅から歩くとまず浄土宗の寺院 正受院がある。ここには二度訪れたのだが、
最初は7時台に着いて開門が9時とわかり断念、二度目は境内には入れたが、
天気が良すぎてコントラストが激しすぎ、まともな写真が撮れずこれも失敗。
今回は諦めて、いずれまた別の機会に取り上げることにした。川沿いを西へ。
金剛寺を過ぎ、整備が行き届いた緑地、散策路を進むと、やがて左岸に大きな
谷津大観音像が見えてくる。ここから少し北に入ると壽徳寺の門前に出る。

壽徳寺 北区滝野川4-22-2

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門前左に小堂がある。中には不動明王立像 造立年不明。早朝にもかかわらず
きれいなお花が供えられていた。

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境内に入ると左手、西側のブロック塀の前に石塔が立っているのが見える。
庚申塔 明治41(1908)自然石の正面に「帝釋天三猴」主尊と三猿を文字で
表したものだろう。

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裏面の上部に「庚申講」と彫り、その下に谷津組、続いて20人程の名前を刻む。
さらに左下に竿石寄附 板橋町 石工 清水何某とあった。

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本堂のほうに進むとその左側に無縁塔がある。かわいいお地蔵様が並んでいた。

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その奥、ブロック塀の前に三体のお地蔵様が立っている。両脇は個人の供養塔。

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中 庚申塔 地蔵菩薩立像 延宝3(1675)光背左 武州豊嶋郡谷津村。その下に
年号を刻む。光背右、梵字に続き「奉造立庚申供養二世安楽処」

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足元には素朴な三猿が彫られていた。

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本堂の右にも石仏が並んでいる。その中に釈尊初転法輪像 平成16年。
新しいものだが、細かく凝った彫りが魅力的だ。

古塚庚申大神 北区滝野川5-32-6

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壽徳寺から南に歩き石神井川を越えて学校の脇を進むと一方通行の細い道と
交差する。ここを右折して板橋駅方面に向かうと国道17号線に出る直前、
左手に古塚庚申大神があった。門扉の向こうに庚申塔が見える。

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庚申塔 造立年不明 正面に「古塚 庚申大神」門扉は閉まっていて側面を
確認できなかった。石の感じからみてもそう古いものではないだろう。

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下部には三猿。面白い構図だが、平板な印象を受ける。

滝野川一丁目三差路 北区滝野川1-77

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都電荒川線と明治通りに挟まれて平行している道路、滝野川一丁目交差点から
池袋方面に200mほど進んだ右手の三差路に二基の石塔が並ぶ。右に立つのは
安永年間の個人の供養塔で聖観世音菩薩立像。左は庚申塔である。

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庚申塔 元文5(1740)窪めた窓の中 日月雲 青面金剛立像 剣ショケラ持ち六臂。
風化のために全体に彫りははっきりしない。下部には邪鬼・二鶏・三猿が揃う。
窓の縁の部分、左は 是より左 弁天道、右は 是より右 正受院だろうか?

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塔の右側面には年号。その下に願主10名あまりの名前を刻む。左側面には
武州豊嶋郡瀧野川村とあり、さらに江府駒込 石工 宇兵衛と刻まれていた。

金輪寺 北区岸町1-12-22

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王子駅から線路沿いに北へ向かうと名主の滝公園の南に金輪寺がある。参道の左に
二基の石仏が並んでいた。

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庚申塔 正徳2(1712)上部に梵字 日月雲 青面金剛立像 合掌型八臂。光背左に年号。
光背右に「奉造立石像庚申所願成就」足の脇に二鶏。足元に邪鬼。さらに三猿。

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不動明王坐像 銘が確認できず詳細不明。きれいな彫りで特に二童子の表情がいい。

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本堂の南側手前に三基の石塔が並んでいる。真ん中は個人の墓石だった。

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左 西國移霊場石塔 安永6(1777)正面「西國一番 紀国那知山うつし」と彫られる。
左側面に年号。下に王子 池上坊。右側面 奉納 湯島武縁坂町 伊勢屋弥兵衛とある。
江戸中期になり商人も力をつけた頃、大店のお大尽が寄進したものだろうか。

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右 庚申塔 文化5(1808)自然石に大きく「庚申塔」後ろには年号が彫られていた。
台の正面に岸講中と刻まれている。

南橋公園角 北区中十条1-1

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北区中央図書館の東に小さな南橋公園がある。その北側の角、三角のエリアに
二基の庚申塔が立っていた。左の道は王子方面。右の道は石神井川に至る。

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左 庚申塔 万治2(1659)板碑型。やはり江戸初期には板碑型が多いようだ。

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中央 彫りが薄いが阿弥陀三尊の梵字の下「奉供養庚申待二世安樂攸」とある。
右脇 武州豊嶋郡十条村□□車。三文字は地名か?左脇に年号。その下に七人。
中央下、敬白に続くと施主七人敬白だろうか。

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右 庚申塔 承応3(1654)板碑型。これも古い。中央「奉供養庚申待二世安樂攸」
右脇 武州豊嶋郡十条村 道行七人。左脇に年号。その下には敬白と刻まれている。

金剛寺 北区滝野川3-88-17

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中央図書館から南へ歩くと石神井川の紅葉橋に出る。そのたもとに金剛寺がある。
山門の手前右側の塀の前に石塔が並んでいた。

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右端 板碑型の石塔。これは庚申塔らしいのだが、真ん中に「辨財天道」とだけ
読める。右脇と左脇に文字が見えるがはっきりしない。古いものだろうが・・・

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真ん中に立つ角柱型の石塔。上に彫られているのは阿弥陀如来坐像だろうか?
印から見ると大日如来か?中央の字は複雑に重なっていてこれも読めなかった。

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右側面中央にやっと「南無阿弥陀仏」と読めるがその上下の字もうまく読めない。

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左端 西國三拾三所供養塔 寛政9(1797)やっと読める石塔があってホッとする。

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上部には三面六臂の馬頭観音坐像。こちらはしっかりとした彫りだ。

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山門を入って右に進むと墓地がある。その入口の塀の前に庚申塔 元文5(1740)が
立っていた。正面「奉庚申供養石橋造」左側面に武州豊嶋郡滝野川村講中とある。

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本堂の右手にある弁天堂のそばに道標?中央に「右 岩屋辨財天道」と読める。
両脇に文字が見えるがやはり薄くて読み取れない。門前の板碑型石塔と同種か?
いずれも江戸時代初期のものではないだろうか。